安全保障貿易管理

1.概要

 安全保障貿易管理とは、我が国を含む国際的な平和及び安全の維持を目的として、武器や軍事転用可能な技術や貨物が、我が国及び国際的な平和と安全を脅かすおそれのある国家やテロリスト等、懸念活動を行うおそれのある者に渡ることを防ぐための技術の提供や貨物の輸出の管理を行うことです。

 本学においても、令和6年4月1日施行し、一部改正(令和7年3月1日施行)した「{web_name}安全保障輸出管理規程」のもと、安全保障貿易管理体制を整備しています。

?参考?

研究者のための安全保障貿易管理ガイドライン(産学連携学会)

安全保障貿易管理 ガイダンス [入門編](経済産業省 令和7年1月)

安全保障の 輸出管理への入門  (経済産業省 令和6年7月)

?? Check!!

特定類型とは(特定類型該非判定)

   ???「4.みなし輸出 及び 特定類型について」にて詳細を確認して下さい。

2.規制の内容

 外為法に基づく輸出規制は、

 (1)リスト規制

 (2)キャッチオール規制

から構成されており、これらの規制に該当する技術の提供や貨物の輸出は、経済産業大臣の事前許可が必要となります。

(1)リスト規制

 武器及び大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に用いられるおそれの高い技術や貨物に該当する場合には、輸出等の仕向地にかかわらず経済産業大臣の事前許可が必要になります。

 「外為令別表」及び「輸出令別表第1」に規定されている品目は「リスト規制対象一覧」のとおりであり、これらの品目が「貨物等省令」に規定されている仕様に該当すれば、リスト規制の対象になります。


(2)キャッチオール規制

 キャッチオール規制においては、ほぼすべての技術?貨物が規制対象(「輸出令別表第一」第16項)となっており、提供技術や輸出貨物がリスト規制に該当しない場合であっても、用途、需要者等によって輸出許可申請が必要な場合があります。

  • 16項該当の規制対象か?
  • 輸出先はどこか? 輸出令別表3のホワイト国or非ホワイト国向け?
  • 用途、最終需要者に兵器開発に関する懸念があるか?
  • 大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵等に用いられるおそれがある
  • 通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある

場合に、許可申請が必要

① 大量破壊兵器キャッチオール規制

 相手先が輸出管理を厳格に実施している国(輸出令別表第3の地域)以外の地域である場合、提供技術や輸出貨物が核兵器等の開発等に用いられるおそれがあると輸出者等が知った場合、または用いられるおそれがあるとして経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、経済産業大臣の事前許可が必要になります。

② 通常兵器キャッチオール規制

 相手先が国連武器禁輸国?地域の場合、提供技術や輸出貨物が通常兵器の開発等のため に用いられるおそれがあると、輸出者等が知った場合、または用いられるおそれがあるとして 経済産業大臣からインフォーム通知を受けた場合には、経済産業大臣の事前許可が必要となります。

 また、相手先が国連武器禁輸国?地域以外の「輸出令別表第3の地域を除く地域」である場合、通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるとして経済産業大臣からインフォーム通知を受けた場合には、経済産業大臣の事前許可が必要となります。

    

3.手続きの流れ

Step1 事前確認

 教職員等が、海外出張を予定する場合は、海外出張事前確認シート(安全保障輸出管理) 技術の提供又は貨物の輸出を行おうとする場合は、技術の提供?貨物の輸出の事前確認シートまた、外国から留学生、研究者等を受け入れる場合は、外国人(留学生?研究者?教員?訪問者等)受入れの事前確認シートを作成する。

    

*上記シート作成時に活用してください

リスト規制?キャッチオール規制の判定のための参考資料

    

?相手先に関する懸念情報

?非居住者又は特定類型該当者への該当性

             ???「4.みなし輸出 及び 特定類型該当者について」を必ず Check!!

?例外規定(公知の技術、基礎科学分野の研究活動における技術)の適用判定等

※事前確認により取引審査の手続が不要と承認された場合には、教職員等は当該取引を行うことができる。

Step2 該非判定

 Step1で、取引審査の手続が必要と判断された場合は、当該技術又は貨物がリスト規制技術又はリスト規制貨物に該当するかについて「該非判定票」を起票し、該非判定を行う。

Step3 用途確認

 取引審査の手続が必要とされた場合は、当該技術又は貨物の用途について、大量破壊兵器等又は通常兵器の開発等に用いられるおそれがないかを、「「用途」チェックシート」及び「明らかガイドラインシート」を用いて確認する。

Step4 需要者等確認
 当該技術又は貨物の需要者等について 以下の項目に該当するかを、別途定める「「需要者」チェックシート」等を用いて確認する。

Step5 審査票作成
 リスト規制及びキャッチオール規制の観点から?審査票(技術の提供?貨物の輸出用)?または「審査票(外国人(留学生?研究者?教員?訪問者等)又は特定類型該当者受入れ用)」を起票して承認を受ける。
※「審査票」には、仕向地、技術?貨物の名称、需要者、用途等を記載し、審査に必要な書類を添付する。

Step 許可申請
 Step5承認により外為法等に基づく経済産業大臣の許可を受けなければならない場合、経済産業大臣に対して許可申請を行う。
※技術の提供又は貨物の輸出を行おうとしている教職員等は、外為法等に基づく許可が必要な技術の提供又は貨物の輸出については、経済産業大臣の許可を得ている確認を行わない限り当該技術の提供又は貨物の輸出を行えない。

Step7 貨物の出荷管理
  貨物を輸出する場合、事前確認及び取引審査手続が行われたことを確認し、また、外為法等の許可が必要な貨物の輸出の場合には、経済産業大臣の許可が取得されていることを確認を怠らない。

4.みなし輸出 及び 特定類型について

 外為法では、「国境を越える規制技術の提供」、「居住者から非居住者への規制技術の提供」の2つの行為を経済産業大臣への許可申請が必要な「技術の提供」として管理しています。非居住者は最終的には出国する見込みが高いことから、輸出とみなして管理しており、居住者から非居住者へ技術の提供を行うことを「みなし輸出」といいます。

 特定類型とは、たとえば、外国政府から留学資金の提供を受けている学生や、外国政府から多額の研究資金や生活費の提供を受けている研究者、外国企業と兼業している教職員など、「居住者が非居住者(外国政府や外国法人)からの影響を強く受けている状態にあること」をいいます。特定類型には3つの類型があり、該当する場合は、居住者への技術提供であっても、みなし輸出管理の対象となります。

(1)特定類型の概要

 特定類型とは、「居住者(自然人のみ)が非居住者から強い影響を受けている状態のこと」を指し、概要は下表のようになります。

スクリーンショット 2025-07-22 101039.png

(2)特定類型の該当性の判断

 規制技術を提供する相手先が特定類型に該当するかどうかを判断する際の考え方は、「特定類型の該当性の判断に係るガイドライン」に記載されています。

 これに従った確認を行えば、相手先の特定類型該当性の確認について、通常果たすべき注意義務を果たしたものと解され、仮に相手先が特定類型該当者であったことに気づかなかったとしても、規制技術の提供に当たり許可を取得しなかったことについて無過失となり、罰則又は行政処分の対象にはならないとされています。

 ガイドラインの概要は下表のようになっています。教職員については、常勤又は非常勤といった雇用形態にかかわらず、提供者である大学の指揮命令下にある者として取り扱う必要があります。

スクリーンショット 2025-07-22 104157.png

(3)特定類型の該当性の確認とその後の手続

 特定類型の該当性の確認は、技術提供の場面ごとに個別に行うことが原則とされていますが、学内における教職員への技術提供のように、日常的に行われる技術提供への管理方法としては現実的ではない場合があります。

 こうした技術提供の際の外為法違反のリスクを包括的に、かつ未然に防止する観点から、教職員等について次のような方法で特定類型該当性の確認を行うことが推奨されており、本学でも下記の通り対応しています。

    

1)本学で雇用する教職員について

 令和4年5月1日以降に採用された本学教職員については、特定類型該当性について自己申告を求めることで確認を行い、勤務期間中に特定類型に該当することとなった際には報告することとしています。

 同日時点で既に勤務していた本学教職員については、就業規則等に基づき、兼業の報告等を適切に求めることで特定類型該当性の確認を行っています。なお、同日以前に兼業の報告等のあった従業員については、既に得ている報告等の内容から特定類型該当性の確認を行っています。

 これら教職員が特定類型に該当することが確認された場合は、規制技術の提供の前までに、「取引審査票」を作成し、規制技術の提供を行うか否かの判断を行います。

    

2)本学と雇用関係のない者について

 雇用契約を結ばない研究員等の受け入れについては、通常取得することとなる契約書等の書面において記載された情報から特定類型該当性の確認を行い、これらの者が特定類型に該当することが確認された場合は、教職員と同様の手続を行います。

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